女房子にょうぼこ)” の例文
と云っていまさらその女と新しい関係をつける気はなし、かつは女房子にょうぼこの手前もあるから、自分はわざわざ出かけたくないのさ。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「お前さんが七年あとに清水さんを殺した其の白骨でも出さなけりゃア、跡に残った女房子にょうぼこが七回忌になりやしても、とむらいも出来やせん」
「コロリで死んだ大工の年造、それから煙草屋の大吉、そのほかに仕立屋職人の甚蔵、ざる屋の六兵衛……。甚蔵と六兵衛には女房子にょうぼこがあります」
半七捕物帳:55 かむろ蛇 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大喰おおくわされ!」とお糸さんは烟管きせるを火鉢のかどでポンと叩いて、「正可まさか女房子にょうぼこの有る人た思いませんでしたもの。 ...
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
自分はよくも知らないが、うらないは下手へたでもないという噂である。幸斎は独り者で、女房子にょうぼこは勿論、親類なども無いらしい。酒を少し飲むが、別に悪い評判もない。
半七捕物帳:56 河豚太鼓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
貴公に二十金進上致すが、その金をつかってしまってはいかぬけれども、貴公も左様そうして遊んで居るより村外れで荒物みせでも出して、一軒のあるじになって女房子にょうぼこでも持つようになれば
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「親分、きっとそうですよ。女房子にょうぼこの手前があるから、どっかの二階へでもお熊を預けて置くつもりで、兄きの所へその相談に来たのかも知れませんぜ。節季せつき師走しわす暢気のんきな野郎だ」
半七捕物帳:61 吉良の脇指 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
連れて逃げようと無分別にも相談をしたのが丁度三十七の時ですよ、それからお前さん連れて逃げたんだ、国には女房子にょうぼこが有るのに無茶苦茶に此奴を引張ひっぱって逃げましたが、年季は長いし
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
去年の火事に焼けてから神奈川の本宿ほんじゅくへ引っ込んで、西の町に住んでいるそうですが、女房子にょうぼこのない独り者で、吾八という若けえ弟子と二人っきりで男世帯を張っていると云うことです
半七捕物帳:59 蟹のお角 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)