女児こども)” の例文
旧字:女兒
上框あがりがまちには妻の敏子が、垢着いた木綿物の上に女児こどもおぶつて、顔にかゝるほつれ毛を気にしながら、ランプの火屋ほやみがいてゐた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
隣家となりの主人が女児こどもを負って畑廻わりをして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
林務課の事業手といふ安腰弁の立見君は、細君と女児こどもと三人で其麽そんなへやにゐ乍ら、時々藤村調の新体詩などを作つてゐた。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『アレツ!』『アレツ、新坊さんが!』と魂消たまぎつた叫声さけび女児こどもらと智恵子の口からほとばしつた。五歳いつつの新坊が足をさらはれて、あつといふ間もなく流れる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
川底の石は滑かに、流ははやい。岸の智恵子がにはかの驚きに女児こどもらの泣騒ぐも構はずハラ/\してるうちに、吉野は危き足を踏しめて十二三間も夜川の瀬を追駆おつかけた。波がザブ/\と腰を洗つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
先夫は良い人であつたが、梅といふ女児こどもを残して之も行方知れず(今は函館にゐるが)。二度目の夫は日露の役に従つて帰らずなつた。何か軍律に背いた事があつて、死刑にされたのだといふ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)