太紐ふとひも)” の例文
鼠が二、三匹棒のようにつながり、膝の向こうを横切って走り、太紐ふとひものようないたちがその後から、背を波立たせて追って行った。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
黒鹿毛くろかげくらつぼへ踏みまたがった自分の胴脇へ、遠目にも派手やかな古代紫の太紐ふとひもで、八雲のからだを確乎しっかとくくりつけていた。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肩や両脇りょうわき太紐ふとひもで荒くかがって風のけるようにしてある陣羽織じんばおり式の青海流の水着をぐと下から黒の水泳シャツの張り付いた小初の雄勁ゆうけいな身体がき出された。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)