大雑把おおざっぱ)” の例文
「白磁とか青磁とか、そう大雑把おおざっぱに云われては敵わん、それは白磁の内でも『饒州じょうしゅうの白』と云って唐来の珍物じゃ」
嫁取り二代記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しかし無論、道庵流に皮肉に見ることなどは知らないし、武芸者の大雑把おおざっぱな頭に、海老蔵の名前だけがしみ込んでいるものですから、その絵ビラを見て
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
なぜならば世間の大雑把おおざっぱな記憶では、桜田門の十七浪士は、すべてもう死んでいるものとしてあるからだった。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手数をかけるだけの細かい頭脳あたまを働かすことはしないで、すべて大雑把おおざっぱにてきぱきさばいて行く方で、大抵は呉服屋まかせであったが、商売人の服装には注意を怠らなかった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
経済学者に言わすれば、これ需要じゅよう供給きょうきゅうの然らしむるところと、大雑把おおざっぱに一言で解決するであろうが、これを個人々々の場合に当てめると、人の問題は死んだ物件ぶっけんの需要供給とは大いにちがう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
かれらしい大雑把おおざっぱな言い方で二万円くらいかかるでしょうといった。
生涯の垣根 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
何しろ、議論百出なのだ、理論はそう大雑把おおざっぱなわけにゆかない。義士の品行論や、復讐論にまでわたって果しがない。いろいろな流言蜚語ひごもこの間に放たれる。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは大雑把おおざっぱにいって社会経済が武家から町人の手に移りつつあった現われであろうが、その反面、これら新興の富豪商人らが幕府政治の枠内わくないで巨利をつかむために
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
下手へたには見下みくだせぬやつだ。気軽なようで底が知れぬし、大雑把おおざっぱなようで、ひとみづかいは鋭くて細かい)
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)