夜蕎麦売よそばうり)” の例文
此の通り徳利とくりを提げて来た、一升ばかり分けてやろう別に下物さかなはないから、此銭これで何ぞすきな物を買って、夜蕎麦売よそばうりが来たら窓から買え
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
家ごとに盂蘭盆うらぼん送火おくりび物淋ものさびしい風の立初たちそめてより、道行く人の下駄げたの音夜廻りの拍子木犬の遠吠とおぼえまた夜蕎麦売よそばうりの呼声にもにわかに物の哀れの誘われる折から、わけても今年は御法度ごはっと厳しき浮世の秋
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
人のうちは何うも寝附の悪いもので、モジッカして居りまする内に、段々更け渡り、世界がしんといたし、聞えるものは河岸へあたる浪の音、かすかに茶飯屋と夜蕎麦売よそばうりの声のみで
夜蕎麦売よそばうり行燈あんどう淋しに残る川端の夜景はわれを酔はしむ。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
夜蕎麦売よそばうり行燈あんどうさびに残る川端の夜景はわれをはしむ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)