夕凉ゆふすゞ)” の例文
彼は夕凉ゆふすゞに東京を立つて、夜の九時頃に古馴染の旅館へついた。そして其の翌日、比較的海に近い新築の家を一軒かりることに決めた。そこは青田が部屋のなかからひろびろと見度みわたされた。
青い風 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「何しろ金澤町の居廻りは、薄寒いのに夕凉ゆふすゞみの人通りで大變な賑ひだ」
日がおそろしく早く暮れてしまふだけ、長いはすぐに寂々しん/\け渡つて来て、夏ならば夕凉ゆふすゞみの下駄げたの音にさへぎられてよくはきこえない八時か九時のときかねがあたりをまるで十二時のごとしづかにしてしまふ。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)