堅苦かたくる)” の例文
長吉ちやうきちひげはやした堅苦かたくるしいつとにんなどになるよりも、自分の好きな遊芸いうげいで世を渡りたいとふ。それも一生、これも一生である。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
これもそのはずであって、むかしは堅苦かたくるしき文字をりて、聖人せいじんにも凡人ぼんじんにも共通なる考えを言い現すくせがあった。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
彼女は火鉢にあたる自分の顔を見て、「なぜそう堅苦かたくるしくしていらっしゃるの」と聞いた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今日は入学しきだった。ぼんやりとしてそれでいて何だか堅苦かたくるしそうにしている新入生はおかしなものだ。ところがいまにみんなあばれ出す。来年になるとあれがみんな二年生になっていい気になる。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)