均斉きんせい)” の例文
旧字:均齊
成程均斉きんせいはとれているが、なまめかしい章魚たこをみるようで尊厳さがない。この像を拝した人の心理は私には不可解である。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
空気のいささかな動揺にも、対比、均斉きんせい、調和、平衡等の美的方則を破らないよう、注意が隅々すみずみまで行き渡っていた。
猫町:散文詩風な小説 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
肩付きのたくましさはかんぬきのよう、十分弾力を秘めたらしいひき締った手肢てあし、身長、肉付き、均斉きんせいといい理想的ヘルメス型の、この男には男惚れさえしよう。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
均斉きんせいのとれた四筋肉きんにくの見事さ。春とは見ちがえるばかり背丈ぜいも育っている。
それはよく整い、よく接合し、鱗形うろこがたに並び、直線をなし、均斉きんせいを保ち、しかも凄惨せいさんな趣があった。学理と暗黒とがこもっていた。防寨ぼうさいの首領は、幾何学者かもしくは幽鬼かと思われた。
彼の指揮する管絃楽の、確固たる正確さ、メトロノーム的な均斉きんせいさ、常に美妙な色合いを失わない演奏法を、激称した。次の音楽会には、チェルニーの急速なる練習曲を演奏するがいいと提議した。