地雷火じらいか)” の例文
昔、地雷火じらいかやく斬罪ざんざいとなりし江戸末年の落語家朝寝房あさねぼうむらくも、かゝる雪の夜、席ハネてよりかゝる酒盃に親しみしならむか。
滝野川貧寒 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
(火)福岡の衛戍えいじゅ病院は三十余年前に床の下に入れて置いた地雷火じらいかがこの頃思ひ出したやうに爆発して人を焼き殺したさうな。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
それはまるで赤やみどりや青や様々さまざまの火がはげしく戦争せんそうをして、地雷火じらいかをかけたり、のろしを上げたり、またいなずまがひらめいたり、光のながれたり
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もっとも敵の地雷火じらいかすさまじい火柱ひばしらをあげるが早いか、味かたの少将を粉微塵こなみじんにした。が、敵軍も大佐を失い、その次にはまた保吉の恐れる唯一の工兵を失ってしまった。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
地雷火じらいかが、爆烈ばくれつしたんだ。」と、九つになる、ぼっちゃんがいいました。
おさくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここにその任命を公表すれば、桶屋おけやの子の平松ひらまつは陸軍少将、巡査の子の田宮たみやは陸軍大尉、小間物こまもの屋の子の小栗おぐりはただの工兵こうへい堀川保吉ほりかわやすきち地雷火じらいかである。地雷火は悪い役ではない。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)