国訛くになま)” の例文
旧字:國訛
ある寒い朝、十時ごろに楊枝ようじをつかいながら台所へ出て来た笹村の耳に、思い出したこともない国訛くになまりでしゃべっている男女の声が聞えて来た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
なにか、国訛くになまりの早言葉を、がやがや交わし合っていたと思うと、露八へは、二名だけを残して、にわかに駈けだして行った。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あんなに、喋舌しゃべって、喋舌って、喋舌りからかいて——」と豊世は思わず国訛くになまりを出した。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
国訛くになまりのある語調ちょうしで言って、そこへ挨拶あいさつに出たのは相川の母親おふくろである。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
国訛くになまりを交ぜてこんな長歌を今様調でうたっていた越軍の若ざむらい達は、ついにこぞって起ちあがり、手拍子あわせながらこの城楼第一の大広間も狭しとばかり、輪をなして踊りめぐり踊り流れ
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)