国舅こっきゅう)” の例文
おかすものと見て、一時に憤激したものでしょう。……や、や? ……国舅こっきゅう、あなたは何故、わたくしの言を聞いて泣かれるのですか
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その推移をながめながら、怏々おうおうと、ひと知れず心を苦しめていたひとは、この国舅こっきゅうとよばるる車騎将軍——董承とうじょうであった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父の吉平は、知ってのとおり、国舅こっきゅう董承とうじょうと計って、曹操をのぞかんとし、かえって事あらわれて、曹操に斬られた者だ。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「左様ですかの。何せい、はやく国舅こっきゅうがおなおりくださらぬと、陛下のご軫念しんねんもひとかたではございませぬ。きのうも今朝も、ご下問がございました」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かつて彼の命の下にあえなき最期をとげた漢朝のふく皇后や、とう貴妃や、また国舅こっきゅう董承とうじょうなどの一族があらわれて、縹渺ひょうびょうと、血にそみた白旗はっきをひるがえして見せ、また雲の中に金鼓きんこを鳴らし
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当然、それとともに曹操もまた、国舅こっきゅうという容易ならぬ身分を加えた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……馬騰。忘れはおるまいな。むかし国舅こっきゅう董承とうじょうと汝へ降したちん衣帯いたいの密詔を。……あの折は、未然に事やぶれたが、このたびそちが上洛の由を聞いて、いかに朕が心待ちしていたかを察せよ」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)