回生剤きつけ)” の例文
後見が、回生剤きつけを呑まそうと首を抱く。一人が、装束の襟をくつろげようと、あの人の胸を開けたかと思うと、キャッと云って尻持をついたはどうです。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「先生、おしいことをしました、おんなじ一杯回生剤きつけを頂かして下さるのなら、先方むこうへ参りませんさきに、こうやって、」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三度五度は訳も解らず、宿のものが回生剤きつけだ、水だ、で介抱して、それでまた開きも着いたが、日一日数は重なる。段々開きが遅くなって、はげしい時は、半時も夢中で居る。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
羞含はにかんで、ぼうとなって、俯向うつむくので話がきまって、かっ逆上のぼせた奴を車に乗せて、回生剤きつけのような酒をのませる、こいつを三々九度と云うのよ。そこで寝ておきりゃ人の女房だ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一座の座頭ざがしらとなりて後も、舞台にはげしきはたらきしては、楽屋に倒れて、その弟子と、その妹と、その養うと、取縋り立蔽たちおおいて回生剤きつけを呑ませ呼びけたる、技芸の鍛錬積りたれば
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
回生剤きつけとして、その水にしたたらして置くがならいじゃ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)