嚥下のみくだ)” の例文
かわいた時水を飲むのは病毒を嚥下のみくだすという危険があるばかりでなく、胃中へ水がまって吸収されませんから非常に消化器を害します。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「何ともいえないので、まるで熱鉄を嚥下のみくだす心持でがすよ。はあ、それじゃ昨日きのう、晩方にも苦しみましたな。」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
アンディーヴの截片はお絹の口の中で慎重にみ砕かれた。青酸あおずっぱい滋味が漿液しょうえきとなり嚥下のみくだされる刹那せつなに、あなやと心をうつろにするうまさがお絹の胸をときめかした。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
城介は皆の見ている前でそれを口に含み、一気にパイチュウで嚥下のみくだした。
狂い凧 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
かれはらに一ぱいになるまでには、けた齒齦はぐきんで嚥下のみくだして
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おとがひを突出して、喉仏を見せて嚥下のみくだす時の様子をする。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
手品を使うと称して、嚥下のみくだした真鍮煙管しんちゅうきせる——
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)