器物もの)” の例文
鍋や何かの物を掴み出して食ったり、種々いろ/\器物ものほうったりして何うも……それに旦那のないのちに此のお内儀かみさんが正直な気性だから、身代限を出す時にも大概の横著おうちゃくの奴なら
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今しも台所にては下婢おさん器物もの洗ふ音ばかりして家内静かに、他には人ある様子もなく、何心なくいたづらに黒文字を舌端したさきなぶおどらせなどして居し女、ぷつりと其を噛み切つてぷいと吹き飛ばし
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
皿が政治を執ったてえ話は昔から聞いた事がねえ、何様どん器物ものでも人間が発明してこしらえたものだ、人間が有ればこそ沼ア埋めたり山ア掘崩したり、河へ橋を架けたり、田地田畠でんじでんばた開墾けえこんするから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今しも台所にては下婢おさん器物もの洗う音ばかりして家内静かに、ほかには人ある様子もなく、何心なくいたずらに黒文字を舌端したさきなぶおどらせなどしていし女、ぷつりとそれをみ切ってぷいと吹き飛ばし
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)