せせ)” の例文
ねえ先生、やはりあの鬼畜ひとでなしは、わっしだったのですよ。そして、座頭おやじが云った風云々うんぬんという言葉は、暗に私たちの関係をせせら笑ったものなんです
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
歩いても歩いてもどこまで行っても、絶えずせせら笑いをうかべたドローレスの顔ばかりが眼前にちら付いている。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
お勢の顔には、一抹の血の気もなく、すでに観念しているのか、せせら笑うような影さえ見えた。左枝は、相手の動作を警戒しながら続けてゆく。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
と絶叫した妻の下腹部眼蒐めがけて悪魔のごとくにせせら笑いながら拳銃弾を打ち込んだ。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
そのとたん一同の視線が、おりから湯上りの為十郎に注がれたが、その老人は、軽くせせら笑ったのみで、深い皺をひょうきんな手つきで引っ張り上げた。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
やがては陥ってゆくであろう破滅を考えて悪魔のごとくにせせら笑っている………。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
と、異様な言を吐きせせら笑いながら、彼はつと立ち上ってしまったのである。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
法水は、せせら笑うような響きを罩めて云った。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)