喜多八きだはち)” の例文
と精々喜多八きだはちの気分をただよわせて、突出つきだし店の硝子戸がらすどの中に飾った、五つばかり装ってある朱の盆へ、突如いきなり立って手を掛けると、娘が、まあ、と言った。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(どうだ、喜多八きだはち。)と行きたいが、其許そのもとは年上で、ちとそりが合わぬ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここは弥次郎兵衛やじろべえ喜多八きだはちが、とぼとぼと鳥居峠とりいとうげを越すと、日も西の山のに傾きければ、両側の旅籠屋はたごやより、女ども立ちでて、もしもしお泊まりじゃござんしないか、お風呂ふろいていずに
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)