和蘭陀おらんだ)” の例文
実あ、走井はしりいの茶屋の先で、チラと姿を見かけたので、和蘭陀おらんだカルタにことよせて、それとなく礼をいいにいったくらいですからね……。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和蘭陀おらんだのかんてるくというところで建造された軍艦で、木造蒸気内車もくぞうじょうきうちぐるま、砲十二もん馬力ばりき百、二百十とんというすばらしいやつだ。
天明のころ、長崎へきていた和蘭陀おらんだ人の調べたところによると、日本には九州と山陰道だけでも四十幾種類の鰍がいるという。その写生図が、私の友人のところにある。
姫柚子の讃 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
なにより効験きゝめの強いのは和蘭陀おらんだでカンタリスという脊中せなかに縞のある虫で、是は豆の葉に得て居るが、田舎でエゾ虫と申し、斑猫のことで、効験が強いのは煎じ詰めるのがよかろうと申しましたので
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
和蘭陀おらんだげんげの匂もして、乳の匂がする。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
まあ、この和蘭陀おらんだの海の
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
一方では舞妓たちが藤棚の下へ床几しょうぎをもちこみ、銀のかんざし花櫛はなぐしのきれいくびをあつめて、和蘭陀おらんだカルタをやりはじめていた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北陸地方では鰍のことをごりと呼んでいるが、変わった種類ではない。天明頃、長崎へ来ていた和蘭陀おらんだ人が調べたところによると、日本には四十幾種類の鰍がいるという。その写生図さえ残している。
冬の鰍 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
思わず、和蘭陀おらんだカルタをつかみつぶして、その方の疑念は忘れ、ただ一途いちずに、この復讐をどうしてやろうかと思いつめる。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「三階の十九号室。——そこに、相沢町あざ和蘭陀おらんだ横丁の千坂桐代っていう人がはいっているだろう。盲目で、女の……」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「貴様、署では言ッたじゃないか。——相沢町あざ和蘭陀おらんだ横丁、俗称イロハ長屋、千坂桐代長男——そうだな」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——相沢町あざ和蘭陀おらんだ横丁百三十七番地、通称イロハ長屋、千坂桐代ちさかきりよ
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)