吾邦わがくに)” の例文
前段に申した今日吾邦わがくににおける客観文学の必要とは、我邦現在の一般の教育状態からして案出した愚考に過ぎんのであります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかうしてその隆盛りうせいに至りし所以ゆゑんのものは、有名の学士羅希らきいでて、之れが改良をはかるにる。然るに吾邦わがくにの学者はつと李園りゑん(原)をいやしみ、おいかへりみざるを以て、之を記するの書、未嘗いまだかつて多しとせず。
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし今日の吾邦わがくにに比較的客観態度の叙述が必要であると云う事は、向後何年つづく事か明らかには分りません。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今の評家はかほどの事を知らぬ訳ではあるまいから、御互にこう云う了見りょうけんで過去を研究して、御互に得た結果を交換して自然と吾邦わがくに将来の批評の土台を築いたらよかろうと相談をするのである。
作物の批評 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きわめて落ちついた十八年を吾邦わがくにで過ごされた。
ケーベル先生 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)