吾儕われら)” の例文
……されば九州で危いのはまず黒田と細川(熊本)であろう……と備後びんご殿(栗山)も美作みまさか殿(黒田)も吾儕われらに仰せ聞けられたでのう。
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「人はいかなる境涯にも慣れるもので、それがまた吾儕われらに与えられたる自然の恵みである」と言った人もあったとやら。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
吾儕われらは奇蹟を驚異し、透視とうしの人を尊敬し、而して自身は平坦な道をあるいて、道の導く所に行きたいものである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
心が畑か、畑が心か、兎角に草が生え易い。油断をすれば畑は草だらけである。吾儕われらの心も草だらけである。四囲あたりの社会も草だらけである。吾儕は世界の草の種を除り尽すことは出来ぬ。
草とり (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
一言申残しておくが、吾儕われらいたずらに女色に溺れる腐れ武士ではないぞ。馬術の名誉のために、大島の馬牧うままきを預ったものじゃ。
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
花は兎に角、吾儕われら附近あたりは自然の食物には極めて貧しい処である。せり少々、嫁菜よめな少々、蒲公英たんぽぽ少々、野蒜のびる少々、ふきとうが唯三つ四つ、穫物えものは此れっきりであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
もし又、万が一にも、そのに及んで満月が二人の切ないこころまず、売女ばいたらしい空文句を一言でもかしおって、吾儕われらを手玉に取りそうな気ぶりでも見せたなら最後の助。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
心が畑か、畑が心か、兎角に草が生え易い。油断をすれば畑は草だらけである。吾儕われらの心も草だらけである。四囲あたりの社会も草だらけである。吾儕は世界の草の種を除り尽すことは出来ぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)