同胞どうぼう)” の例文
勿論、白状はしなかったさ。白状はしなかったに違無いが、自分で、知ってれば謂おうというのが、既に我が同胞どうぼうの心でない、敵に内通も同一おんなじだ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたくし誠心まごころもっ彼等かれらしゅくします、彼等かれらためよろこびます! すすめ! 同胞どうぼう! かみ君等きみらたすけたまわん!
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たった半日で、天下の持主は定まったといえる。同時に、何十万という同胞どうぼうの運命が、眼に見えず、刻々とこの戦場から、子々孫々までの宿命を作られてゆくのであろう。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「金力や威力で、たよりのない同胞どうぼうを苦しめる奴らさ」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
白状はしなかつたにちがいないが、自分で、知つてればいはうといふのが、既に我が同胞どうぼうの心でない、敵に内通も同一おんなじだ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
生疵なまきずの絶間もない位、夜はというと座敷を廻り歩いちゃあ、年上の奴に突飛ばされて、仰向けに倒れると見っともないといって頬板ほっぺたたれたもんだ、何のためだ、同じ我々同胞どうぼうの中へ生れて来て
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)