参詣者さんけいしゃ)” の例文
神社を中心に発達したところを宮村と言って、四方から集まって来る飛騨の参詣者さんけいしゃは常に絶えないという。大祭、九月二十五日。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そのさかしい童児は実は神様の化現けげんであったなどというのを見ると、単なる民間文芸の趣向ではなしに、或いはもとみちばたに出て旅の参詣者さんけいしゃに呼びかけるような宗教的の職業に
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
浅草の観音菩薩かんのんぼさつは河水の臭気をいとわぬ参詣者さんけいしゃにのみ御利益ごりやくを与えるのかも知れない。
水のながれ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
祭壇の前には鉄の孔雀くじゃくがある。参詣者さんけいしゃはその背中に突き出たこぶのようなものの上で椰子やしからを割って、その白い粉を額へ塗るのだそうな。どういう意味でそうするのか聞いてもよくわからなかった。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
早く山をつ二、三の人もある。遠い国からでも祈願をこめに来た参詣者さんけいしゃかと見えて、月を踏んで帰途につこうとしている人たちらしい。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
伊勢いせへ、津島へ、金毘羅こんぴらへ、御嶽おんたけへ、あるいは善光寺への参詣者さんけいしゃの群れは一新講とか真誠講とかの講中を組んで相変わらずこの街道にやって来る。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ここにはくたぶれて来た旅人や参詣者さんけいしゃなぞを親切にもてなす家族が住む。当主の禰宜ねぎで十七、八代にもなるような古い家族の住むところでもある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
遠い国からの参詣者さんけいしゃの中には、薄暗いうちから起きて帰りじたくをはじめる講中仲間もある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
旧暦四月はじめの旅するによい季節を迎えて、上り下りの諸講中こうじゅうが通行も多い。伊勢いせへ、金毘羅こんぴらへ、または善光寺へとこころざす参詣者さんけいしゃの団体だ。奥筋へと入り込んで来る中津川の商人も見える。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)