南北みなみきた)” の例文
細長く南北みなみきたにのびた床の上は、画家らしく、取り乱れている。まず一部分には絨毯じゅうたんが敷いてある。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
或日、そら長閑のどかに晴れ渡り、ころもを返す風寒からず、秋蝉のつばさあたゝ小春こはるの空に、瀧口そゞろに心浮かれ、常には行かぬかつら鳥羽とばわたり巡錫して、嵯峨とは都を隔てて南北みなみきた深草ふかくさほとりに來にける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
南北みなみきた何方どちら医王山道いおうざんみちとでもりつけてあればまだしもだけれど、ただ河原にころがっている、ごろた石の大きいような、その背後うしろから草の下に細い道があるんだもの、ちょいと間違えようものなら
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
細長ほそなが南北みなみきたに延びたゆかうへは、画家らしく、取り乱れてゐる。先づ一部分には絨氈じうたんが敷いてある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)