千草ちぐさ)” の例文
が、出ると大きく成つて、ふやけたやうに伸びて、ぷるツと肩を振つて、継ぎはぎの千草ちぐさ股引ももひき割膝わりひざで、こくめいに、枯蘆かれあしなかにかしこまる。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その後ろにいた千草ちぐさ股引ももひきをはいて、菅笠すげがさをかぶり、腹掛をかけたのが、ちょっと後ろからすがるようにして
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
晩秋の千草ちぐさを庭としてあそぶ、うずら百舌もずや野うさぎの世界は、うらやましいほど、平和そのものである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年は(その頃としては)やや老けていて、二十二か三くらいであろう、名は千草ちぐさといった。
雪の上の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
栗梅くりうめの紋お召の衿もとに白茶の半襟を浅くのぞかせ、ぬいのある千草ちぐさ綴錦つづれおりの帯をすこし高めなお太鼓にしめ、羽織は寒色縮緬さむいろちりめんの一の紋で、振りから大きな雪輪ゆきわの赤い裏がみえた。
ユモレスク (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
妻君のおみねと一人娘の千草ちぐさと、あとは雇人が十人近くいた。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
村上の千草ちぐさの台の秋風を君あらしめて聞くよしもがな
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
千草ちぐさの嘘つきさん
(旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)