のつと)” の例文
元来意見があつて、ひとがそれにのつとるのぢやない。ひとがあつて、其人そのひとてきした様な意見がるのだから、ぼくの説はぼく丈に通用する丈だ。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
單にその通用的便宜のために、疾患を疾患として放任し、惡にのつとつて惡を準用する如きは、一國文化の將來を憂ふる者の、斷じて贊與しないところであらう。
ローマ字論者への質疑 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
訳者は今の日本詩壇にむかひて、もつぱらこれにのつとれと云ふ者にあらず、素性の然らしむる処か、訳者の同情はむしろ高踏派の上に在り、はたまたダンヌンチオ、オオバネルの詩に注げり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)