初会しょかい)” の例文
旧字:初會
何しろここで心中をするのだから、それだけじゃあ済みますまい。お芝居の紋切り型で『そも初会しょかいの其の日より』
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あたしたちが、邪魔をしたようだが、松山の花魁おいらんはうぶで、初会しょかいのお客には、すぐには馴染なじめない。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
由「叶屋でも稻本いなもとでも角海老かどえびでも今日こんにち初会しょかいだ、これから馴染が付いてから本価ほんねくから、まだ飯も食わねえ、湯へも這入らねえうち種々いろ/\の物を売りに来るのは困るねえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その女は初会しょかいから清三の人並みすぐれた男ぶりとやさしいおとなしい様子とになみなみならぬ情を見せたのであるが、それが一度行き二度行くうちにだんだんとつのって来た。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
初会しょかいのときは、固くこばんでいた。翌日すぐ俺は裏をかえして(初会に対する再会のことだが)クララを買ったときも、いやだと言った。口を固くとじて、よして、よしてと言った。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「あい。初会しょかいなら謝罪ことわッておくれ」
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
「白露さん、……お初会しょかいだよ。」
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
綾衣の遅いのには少し面倒な子細しさいがあった。駿河屋の女中は外記の顔を見ると、すぐに綾衣を仕舞いに行ったが、たったひと足の違いでほかの茶屋からも初会しょかいの客をしらせて来た。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
で、かれは昨夜聞いておいた鳥喰とりはみのほうの路を選んで歩き出した。初会しょかいにも似合わず、女はしんみりとした調子で、その父母の古河こがの少し手前のざいにいることを打ち明けて語った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
相方のお国は清七に初会しょかい惚れ、清七の方でも夢中になる。
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一人は初会しょかいで綾衣を指して来た。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)