凶報きょうほう)” の例文
と、あしげて、十九日、いよいよ大坂を出発せんと、意を決した前夜、またも火のつくような凶報きょうほうが、紀州方面から入った。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その凶報きょうほうはおだやかなりし老人の胸を攪乱かくらんしたばかりでなく、宵祭よいまつりをいわうべき平和な家庭をもかきにごした。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
お前からあの恐ろしい凶報きょうほうを聞いた時、わしがすぐに死ななかったのはただその希望のためのみであった。があまりに激しい悲しみはわしを打った。おとろえきったわしの体を病気がむしばんだ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
軍部は、この凶報きょうほうを受取ると、愕然がくぜんと色を失ってしまった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)