冷刻れいこく)” の例文
いかにも傍観者の言いそうなひややかな言葉である。苦艱くかんにある友にむかって発する第一語において、かく訶詰かきつの態度を取るは冷刻れいこくといわねばならぬ。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
あの冷刻れいこくな愛子がおもてもそむけずにじっと姉の肉体が切りさいなまれるのを見続けながら、心の中で存分に復讐心ふくしゅうしんを満足するような事があったら。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
然し、本妻をも、お鳥をも、ヒステリなどにするのは自分だ、自分の熱刻ねつこくもしくは冷刻れいこくな性質からのことだ。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
死ちょう冷刻れいこくなる事実を直視することは出来なかった。即ち恋ほど人心を支配するものはない、その恋よりも更に幾倍の力を人心の上に加うるものがあることが知られます。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
して見ると、橋本はただ演説に対してだけ冷刻れいこくなのかも知れない。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分が深刻しんこくな命脈にはづれて、トルストイの冷刻れいこくにもならず、ドストイエフスキの熱刻ねつこくにも行かず、ただ淺い、淡い、なまぬるい感じと氣分とにぐらついてゐるのをおぼえる。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)