冥路よみじ)” の例文
土部つちべ浜川はまかわ、横山——にくらしや、三郎兵衛、憎らしや、広海屋ひろうみや——生き果てて、早う見たい冥路よみじの花の山。なれど、死ねぬ、死ねぬ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
二、北極にちかい、グリーンランドの中央部八千尺の氷河地帯にあるといわれる、“Ser‐mik‐Suahセルミク・シュアー”の冥路よみじの国。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
冥路よみじのさわりのような心地も致しますけれど、何事もこれまでの定まる縁……こんなことも書いてある、筆もなかなか見事だし、文言もんごんもうめえものだ
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今はこれまで! ……おおおおそれにしても死の間際に、真個しんこの謀反人を一族に持ち、恥じなきその顔を見ようとは! ——冥路よみじさわり、あら無念や! ……が、そのためこの国長
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
わたくしもとよりお手打になるのはいといませんけれども、たゞ全く私が取りませんのを取ったかと思われまするのが冥路よみじさわりでございましたが、御疑念が晴れましたならお手打は厭いません
そこに、字義どおりの冥路よみじの国ありという、“Ser-mik-suahセル・ミク・シュア”は極光下の神秘だ。では一体、その「冥路の国セル・ミク・シュア」とはどういうところか。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「それでも、もし、思い残したことが一つでもあっては、その冥路よみじのさわりとやらになるではありませんか」
口惜くちおしや、口惜しや、焦熱地獄の苦しみ、生きていがたい。のろわしや。土部つちべ浜川はまかわ、横山——にくらしや、三郎兵衛、憎らしや、広海屋ひろうみや——生き果てて、早う見たい冥路よみじの花の山。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
おそろしい冷気、冥路よみじというのはこれかなと思ったほどだ。そしてどこかに、滝があるような水流のとどろきがする。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
あれはもう忌明いみあけだ、思い出せば不憫ふびんと思いやられぬことはないが、いつまでも愛惜あいじゃくを追うのは、それ、冥路よみじのさわりというものでな、今では、さっぱりとあきらめている、いまさら思い出して
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
マヌエラ、ここで私は冥路よみじの友を得たのだ。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)