円屋根まるやね)” の例文
旧字:圓屋根
その中の二本の木蔭には、青い木の柱に平べったい緑いろの円屋根まるやねをつけた四阿あずまやが見え、それには『静思庵せいしあん』と銘がうってある。
祭壇さいだんから火の立ち登る柱廊下ちゅうろうかの上にそびえた黄金の円屋根まるやねに夕ぐれの光が反映うつって、島の空高く薔薇色と藍緑色とのにじがかかっていました。
大寺院はどんより曇った空にやはり高い塔や円屋根まるやねを無数の触手のように伸ばしています。なにか沙漠さばくの空に見える蜃気楼しんきろうの無気味さを漂わせたまま。……
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その穴からのぞくと、ローマの半分を、聖ペテロ寺院の大きな円屋根まるやねまでも見わたすことができるのです。
すると、一伊仙チェンテズモ分だけ行ったところに、あなたは、聖ジュセッペの寺院の円屋根まるやねを見るでしょう。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
もうあたりは黒白あやめも分らぬ闇黒くらやみの世界で、ただ美しい星がギラギラとまたたくのと、はるかにふりかえると、後にして来た地球がいま丁度夜明けと見えて、大きな円屋根まるやねのような球体きゅうたいはし
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いまきみのの前に見えるのは妖精ようせいの城ではなくて、教会です。金めっきをした円屋根まるやねとそのまわりの金の球が、わたしの光を受けて、きらきらとかがやいています。
すると黄ばんだ麦の向うに羅馬ロオマカトリツク教の伽藍がらん一宇いちう、いつの間にか円屋根まるやねを現し出した。……
或阿呆の一生 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
太陽の光りはあかるく円屋根まるやねの左の窓からさしこんでいる。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
平屋根の上には、一だんたかく、金めっきしたりっぱな円屋根まるやねがそびえていました。建物のぐるりをかこむ円柱まるばしらのあいだに、いくつもいくつも大理石の像が、生きた人のようにならんでいました。