内幸町うちさいわいちょう)” の例文
かねて須永から聞いている内幸町うちさいわいちょうの叔父さんという人に、一応そういう方の用向で会っておきたいから紹介してくれと真面目まじめに頼んだ。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夕靄ゆうもやうちに暮れて行く外濠そとぼりの景色を見尽して、内幸町うちさいわいちょうから別の電車に乗換えたのちも絶えず窓の外に眼を注いでいた。
霊廟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
内幸町うちさいわいちょうで見かけた時は腕車くるまひざかけの上まで、長い緑色のをらしてかけていたが、それも大層落附いていた。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
愛宕町から桜田本郷へ出て内幸町うちさいわいちょうから日比谷公園、数寄屋橋から尾張町へ抜けそれをいつまでも東南へ進み、日本橋から東北に取り、須田町から上野公園、とズンズン進んで行ったのであった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今から十年ほど前私は内幸町うちさいわいちょうのある会社につとめていた。
夏の夜の冒険 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)