六歳むッつ)” の例文
膝にすがって六歳むッつばかりの男の子が、指をくわえながら往来をきょろきょろとながめる背後うしろに、母親のそのせなもたれかかって、四歳よッつぐらいなのがもう一人。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「まあ待て、先方さき七歳ななつの時から仏蘭西で育ったんなら、手前どものは六歳むッつ年紀としから仲之町なかのちょうで育ったんです、もっとも唯今ただいま数寄屋町すきやちょうりますがね。」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
五歳いつつ六歳むッつで死んで行くは、ほんとうに賢いのね。女のはまた格別情愛があるものだよ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……年紀としは、そうさね、七歳ななつ六歳むッつぐらいな、色の白い上品な、……男の児にしてはちと綺麗過ぎるから女の児——だとリボンだね。——青いリボン。……幼稚ちいさくたってと限りもしないわね。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が出来る、もうそのしくしく泣いてばかりいる癖はなくなッて、小児こどもにばかり気を取られて、ほかに何にも考えることも、思うこともなくッて、ま、五歳いつつ六歳むッつの時は知らず、そのしばらくの間ほど
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)