児女じじょ)” の例文
旧字:兒女
生活の革命……八人の児女じじょを両肩に負うてる自分の生活の革命を考うる事となっては、胸中まず悲惨の気に閉塞されてしまう。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
高低のある広い地は一面に雑草を以ておおわれていて、春は摘草つみくさ児女じじょの自由に遊ぶに適し、秋は雅人がじんほしいままに散歩するにまかす。
児女じじょが半ばたわむれに近く、背中を出して負う真似をしたり、あるいはもっと厳重に必ず両手を背後に組み、転ばぬようにして帰って来る風、もしくは墓所近くの小石を一つ拾って
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
我に報いんとならば彼女を救え、かの我のごとく早く父母に別れ憂苦頼るべきなき児女じじょは我なり、汝彼女を慰むるは我を慰むるなり、汝の悲歎後悔は無益なり、早く汝の家に帰り
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
余所よその見る目もいと殊勝しゅしょう立働たちはたらきてゐたりしが、ゆえあつて再び身を新橋しんばし教坊きょうぼうに置き藤間某ふじまなにがしと名乗りて児女じじょ歌舞かぶおしゆ。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
八人の児女じじょがあるという痛切な観念が、常に肉体を興奮せしめ、その苦痛を忘れしめるのか。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
浮世絵はその名の示すが如く児女じじょの風俗俳優の容姿を描くをもって本領とす。しかれども時代の好尚こうしょうと画工が技能の円熟とによりてやがて好個の山水風景画を制作するに至れり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)