兇器きようき)” の例文
ガラツ八は其邊を搜しましたが、兇器きようきになるやうな石も棒も見當らず、反つて染吉の持物だつたらしい、贅澤ぜいたく羅紗らしやの紙入が見付かりました。
なにしろ腕力わんりよくがあるからかなひませんね。それに兇器きようきももつてゐるやうです。洋行やうかうするときの護身用ごしんようにとつたものです。一しよにあるいてゐると、途中とちう時々とき/″\ぬかれるんでね。あの無気味ぶきみです。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
それでも遲い町家の夕食に驅けつけるやうに、裏木戸を入つて庭へ廻つたところを、何者とも知れぬ手に、重い兇器きようきで腦天をやられ、たつた一と打ちで、聲も立てずに死んでしまつた樣子でした。
平次もさすがに、兇器きようきの變つて居るのに驚きました。