兀々こつ/\)” の例文
そんな處に我れはくゝられて、面白くもない仕事に追はれて、逢ひたい人には逢はれず、見たい土地はふみ難く、兀々こつ/\として月日を送らねばならぬかと思に
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この道路はどんなことがあつても、酸化したり腐蝕したりすることは先づ無い、今まで頑なな、鉄糞のやうに、兀々こつ/\した石の上で、寝起してゐた身が、濃青こさをの水
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
け行く寒き夜を、大和おほわ一郎の兀々こつ/\と勉学に余念なし、雪バラ/\と窓を打ちて、吹き入る風に身をふるはしつ「オヽ、寒い、最早もう何時かナ、未だ十二時にはなるまい——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
たい土地とちはふみがたく、兀々こつ/\として月日つきひおくらねばならぬかとおもふに、のふさぐも道理だうりとせめては貴孃あなたでもあはれんでくれ給へ、可愛かわいさうなものではきかとふに
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)