信頼のぶより)” の例文
まず、信頼のぶよりが分不相応な高い位をのぞむその増長心をあおりたてて、義朝よしともをその味方につけさせた。あの義朝こそ憎い敵なのだ。
(月雲にかくる)あゝ信頼のぶよりの怨霊よ。成親なりちかの怨霊よ。わしにつけ。わしにつけ。地獄じごくに住む悪鬼あっきよ。陰府よみに住む羅刹らせつよ。湿地しっちに住むありとあらゆる妖魔ようまよ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
その義朝の孤立を誘って、彼の武力と、一部の不平とが結合を見たとき、藤原信頼のぶより惟方これかた等の、反信西派はんしんぜいはの一群が、清盛の熊野参詣の留守に乗じ、その陰謀を表面化しました。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信頼のぶより信西しんぜいほどの実行の力も気概もない。そして関白争いなどと云うおかしな真似まねをしでかしては風流学問に身をかわす。惜しい人物だ。それにつけてもあに様の一慶和尚は立派なお人であったぞ。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
これがむくい一一三虎狼こらうの心に障化しやうげして、信頼のぶより隠謀いんぼうにかたらはせしかば、一一四地祇くにつがみさかふ罪、さとからぬ清盛きよもりたる。
信頼のぶよりの怨霊が成親殿なりちかどのにのりうつったのだ。あの平治へいじの乱に清盛きよもり惨殺ざんさつされた信頼の怨霊が。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
信頼のぶより信西しんぜいほどの実行の力も気概もない。そして関白争ひなどと云ふをかしな真似まねをしでかしては風流学問に身をかはす。惜しい人物だ。それにつけてもあに様の一慶和尚は立派なお人であつたぞ。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
この仕返しとしては、まず義朝の心を暴虐・貪欲にすることによって、信頼のぶよりの陰謀に加担させたので、彼は天子に弓ひく大罪をおかし、武略にすぐれぬ清盛きよもりの如きに追い討たれてしまったのだ。