便殿べんでん)” の例文
ここまで送って来た公卿および六波羅の弓箭きゅうせん千五百人は引っ返す。また、廉子たち三名の妃は、便殿べんでんに入って、化粧改めなどすます。「増鏡」に
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
部署既ニおわルヤ出デヽ朝廷わかツ所ノ府県奉職規則ヲ示シカツコレニ告ゲテ曰ク、余東京ヲ発スルノ前幾日、皇上便殿べんでんニ宣光ラヲ引見シ詔シテ曰ク民ハ国ノ本ナリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
改めて、叔甥おじおいの名乗りをなし、帝は慇懃礼いんぎんれいをとって、玄徳を便殿べんでんしょうじられた。そして曹操もまじえて酒宴を賜わった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あくる日はまた、上皇の御幸みゆきで、式事すべて、前日のごとく、便殿べんでんで上皇から尊氏兄弟へ、親しく賜酒ししゅのことがあり、夜に入って、還御かんぎょになった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
便殿べんでんへ入られても、あとは優勝騎手への賜謁しえつだの、近習の奏上やらで、玉座は衣冠の群れのたえまもない。
便殿べんでんの下に供えて、帝の立座りゅうざをご催促申し上げると、俄に
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)