作手つくで)” の例文
いま甲軍の疾風のごとく、三河に出て、作手つくであたりまで攻めて来るなら、大賀は岡崎にあって、内部を攪乱こうらんし、城門をひらいて甲州勢を迎え入れよう。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古い生活のあとの消えてしまうのも遠くはあるまいが、それでも自分などの旅をした頃までは、三河みかわ作手つくでのような静かな山村でなくとも、四国九州の海辺や鉄道沿線にも
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
たとえば、長篠の戦後すぐ、足助城あすけじょうをやぶり、六月には、作手つくで田峰たみねなどを攻略し、七月には武節ぶせつを、八月には諏訪すわはらを——というような目ざましい進出をつづけた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
作手つくで甘泉寺かんせんじに手厚く葬ったのでも分るし、強右衛門の一言のために、大敗北を招いて潰走かいそうした甲州兵のうちでも、誰ひとり鳥居という名をしざまにののしる者がなかったのを見ても明らかであった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)