何にしても戦争最中で明日も知れない命です。あなたが髪の毛の保存法を手帳に書き留めたには敬服しました。余裕綽々よゆうしゃくしゃくでしたな
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そして、結局は昨日に比べてはるかに傲慢ごうまんな豹一にあきれてしまった。彼女の傲慢さの上を行くほどだったが、しかし彼女は余裕綽々よゆうしゃくしゃくたるものがあった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
まずそれだけこの安土は、平和の余裕綽々よゆうしゃくしゃくたりで、四民を安からしめておるわれらの寸功もありといえましょうか。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もし明るい日で見たら、彼のかおの色も余裕綽々よゆうしゃくしゃくとして子供を相手にしているほどに見えたかも知れません。
彼は余裕綽々よゆうしゃくしゃくたるもので、右から襲い左から飛びかかりグルリと廻って背後から襲う。ねずみを捕えた猫のように最初に致命的の一撃を加え、弱って次第に死ぬのを待ち最後にとどめを差そうとするのだ。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「信ずべき筋によれば」参謀の声は、余裕綽々よゆうしゃくしゃくたるものがあった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「しかし余裕綽々よゆうしゃくしゃくたるものだね。千円も倒されていながら、そこの家の娘を美人と見届けて来るんだから胆が据っている」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
遥かに続く追手のののしる声、松明たいまつの光、さながら絵に見る捕物をそのままの思いで、余裕綽々よゆうしゃくしゃくとして走りながらも、ただ一つ残念なことは、あの炉辺に横座に構え込んで
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「はい。このたびの甲州入りは、時も春、峡山きょうざんの花見にひとしい。帰途は東海道に出、富士見物の御予定などと——これは侍側の方々から伺ったことですが、余裕綽々よゆうしゃくしゃくたる御陣中の様であると承りました」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最初の手合せで、しかも江戸に一流の名ある道場の主人公その人を敵に取りながら、その敵を眼中におかず、余裕綽々よゆうしゃくしゃくたるその態度。構え方に一点の隙を見出すことができない。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「無論冗談です。余裕綽々よゆうしゃくしゃくたるものでしょう?」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)