低頭じぎ)” の例文
彼は馬鹿叮嚀に工夫に向つてお低頭じぎをし、工夫の職業とその監督権に顔をたてゝやるために線路を離れて柔順に丘から降りた。
小熊秀雄全集-15:小説 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
何か言うのかと思うと、手を口のところへ持って行って、口びるをでた。言葉をったような具合だ。黙り込んで曖昧あいまいなお低頭じぎをした。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
番頭小僧もろともにペコペコお低頭じぎをして、棚から盛んに反物たんものかつぎ出して切髪の女の前にとりでを築き立てると
約束が違ふではないかとなじつても、平氣で、値うちの無いお低頭じぎを安賣りするばかりである。しまひには一分でも二分でもいゝと、縁日商人のやうな事を云ひ出した。
げんさきからお低頭じぎをしながら接近して来る手相見の老人——「往年倫敦ロンドンタイムス紙上に紹介されて全世界の問題となれる科学的手相学の予言者バガト・パスチエラ博士その人」
と誠実こめて低頭じぎするを
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この家にはいって以来、彼女はお艶の顔に眼を離さずに、低頭じぎはおろか口ひとつきかないですわっているのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
何しろ、人も怖れる西比利亜シベリアの荒野を共産党の汽車で横断しようというのだから、その騒ぎたるやまさに福島少佐の騎馬旅行以上だ。ことに本邦人は、知るも知らぬもお低頭じぎしあって
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
うづくまり松の根もとの蟻をみるゆき逢ふごとに低頭じぎをして居る
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
通る人の足をよごさないように気をつけてはいたが、誰かにお低頭じぎをされた拍子だった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かういつて、ぺこりと家来の首はお低頭じぎをいたしました。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
左膳が隻腕のひじをはって型ばかりの低頭じぎをすると、土生仙之助が手をうった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
島崎藤村のお低頭じぎと謙遜も