休戚きうせき)” の例文
あそこで八年前に、憫むべきわたしの兄は瞑目した。神の慈愛はかれの上にあれ。兄の最後の数語は我等一族の休戚きうせきのために思を労したものであつた。絶息する一日前に、彼はわたしに謂つた。
祭日 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
おれが自分の材幹さいかん値遇ちぐうとによつて、吏胥りしよとしてげられるだけの事を成し遂げた上で、身を引いた天保てんぱう元年は泰平であつた。民の休戚きうせき米作べいさく豊凶ほうきようかゝつてゐる国では、豊年は泰平である。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)