他所者よそもの)” の例文
居間にも座敷にも他所者よそものが一ぱいに詰まって采配を振り、家付の無能な子供たちは裏の菜園で黙黙として土いじりをしていたり
七重文化の都市 (新字新仮名) / 野上豊一郎(著)
そうしてあとにはまだこの土地に馴染なじみのない他所者よそものの別荘番が残って、村人からも忘れられたように、ひっそりと暮らしているきりです。……
朴の咲く頃 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
奥さ引っ込んで、どうにか人が寝泊まり出来るようにこしらえたのがあるにはあんのでがすけど、今のどころ、他所者よそものの若夫婦が借りてるようでがす。
栗の花の咲くころ (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「今の他所者よそものが今夜お前の村で宿を取ろうとしたらそやつを捕えておけ。そしてそやつに悪い事をさせぬようにきっと気をつけるのじゃぞ、ガベル。」
もと/\お妻の父といふは、上田の在から養子に来た男、根が苦労人ではあり、他所者よそものでもあり、するところからして、自然おのづと瀬川の家にも後見うしろみと成つて呉れた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
当時はまだ階級制度の余風よふうが遺っていて、貴族の子は平民の子を軽蔑したものだ。こういう所へ私のような他所者よそものが這入ったからたまらない、彼等はいつも私を那覇人ナーファー那覇人といって冷かした。
私の子供時分 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
律儀りちぎそうなHさんはそんな事を私に言ったが、こういうごく普通の信者に過ぎないような人にとっても、こちらで他所者よそものとして冬を過しているうちには
木の十字架 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
しかし、山家が何程どれほど恐しい昔気質かたぎなもので、すこし毛色の変った他所者よそものと見れば頭から熱湯にえゆを浴せかけるということは、全く奥様も御存ごぞんじない。そこが奥様は都育みやこそだちです。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そういう気心の知れないような他所者よそものが多いから、村の人達だってあまり附き合いたがらないし
朴の咲く頃 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)