仕舞しも)” の例文
目端めはしの利くところから、主人に可愛かわいがられ、十八までそこの奥向きの小間使として働き、やがて馬喰町ばくろちょうのある仕舞しもうた家に片着いたのだった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
新道つづきのなか一町をへだてた、私の通った小学校のあった町内の入口近かった。一間半ばかりの出窓をもった格子戸づくりの仕舞しもで、流行はやりものを教えるには都合のよい見附きだった。
男「此の始末はマア何う云うもんか、呆れて仕舞しもうたなア……僕が僅かに十日ばか東京とうけいに参って居た留守の間に、隠し男を引入れるとは実にしからん事じゃ……これ密夫みっぷ貴様は何処のもんじゃ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ハイカラな仕舞しもうたと評しさえすれば、それですぐ首肯うなずかれるこの家の職業は、少なくとも系統的に、家の様子を見ただけで外部から判断する事ができるのに、不思議なのはその主人であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)