今日いま)” の例文
おなじ時代を歩んでいるのではあるが、まあ、なんと、今日いまから見れば、そんな些事ことを——といわれるほどの、何もかもの試練にさらされて来た人たちだろう——
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
とびが出るか、たかが出るか、難産中で今日いまの処は何とも言へぬが、三十三四の、脂肪切あぶらぎつた未亡人を主人公に、五六十回続けて見ようと思ふが、問題が問題であるから
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
お客というもののない今日いまの白骨の全温泉で、おたがいが一家族のように親しくなるのはあたりまえで、おたがいに出入りの密になるのもあたりまえですが、後家さんが
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
『しかし、驚いたねえ。狡猾かうくわつな人間もあればあるものだ。今日いままで隠蔽かくして居たものさ。其様そんけがらはしいものを君等の学校で教員にして置くなんて——第一怪しからんぢやないか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
華客とくい廻りは陽の出ぬ中、今日いまでも東京の魚屋にはそう云う気風が残っている。
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
自分は青春を以て、此の一二年来の大作であると推薦したい、もつともまだ新聞に掲載中であるから、如何収るか知らぬが……今日いまの青年は、男女といはず、本能主義ニイチエイズムが無意識の間に伝播でんぱしてゐる。
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)