人丸ひとまろ)” の例文
元義に万葉の講義を請ひしに元義は人丸ひとまろ太子たいし追悼の長歌を幾度も朗詠して、歌は幾度も読めばおのずから分るものなり、といひきといふ。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
皆社会外に立てる人にあらずして要するに詩作家たるのみ、人丸ひとまろ赤人あかひと憶良おくら家持やかもちまた人格の察すべきなく、今日においてはただその詩作家たるを感ずるのみ、以上の諸大家
絶対的人格:正岡先生論 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
すこし広き所に入りてみれば壁おちかかり障子はやぶれ畳はきれ雨もるばかりなれども、机に千文ちふみ八百やおふみうづたかくのせて人丸ひとまろ御像みぞうなどもあやしき厨子ずしに入りてあり
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
あなが人丸ひとまろ赤人あかひと余唾よだねぶるでもなく、もとより貫之つらゆき定家ていか糟粕そうはくをしやぶるでもなく、自己の本領屹然きつぜんとして山岳さんがくと高きを争ひ日月と光を競ふ処、実におそるべく尊むべく
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
歌人の万葉におけるはこれに似てこれよりも更にはなはだしき者あり。彼らは万葉を尊敬し人丸ひとまろを歌聖とする事において全く一致しながらもごうも万葉調の歌を作らんとはせざりしなり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
実例と申しても際限もなき事にて、いづれを取りて評すべきやらんとまどひ候へども、なるべく名高き者より試み可申候。御思おんおもひあたりの歌ども御知らせ被下くだされたく候。さて人丸ひとまろの歌にかありけん
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
あながち人丸ひとまろ赤人あかひと余唾よだねぶるでもなく、もとより貫之つらゆき
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)