交錯かうさく)” の例文
「はつ‥‥」と、田中たなかはあわてて路上ろじやう腹這はらばひになつてばした。が、はなかなかとどかなかつた。手先てさき銃身じうしんとが何度なんど空間くうかん交錯かうさくつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
くさおほはれたをかスロープ交錯かうさくし合つておだやかなまくのやうに流れてゐた。人家じんかはばう/\としたくさのためにえなかつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
私は稍汗ばんだ女の顔の皮膚と、その皮膚の放散するにほひとをあぢはつた。それから、感覚と感情との微妙な交錯かうさくに反応する、みづみづしい眼の使ひを味つた。
世之助の話 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
(わづかの光の交錯かうさくだ)
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)