五味ごみ)” の例文
友達に擯斥ひんせきせられても、末造が綺麗好で、女房に世話をさせるので、目立って清潔になっていたのが、今は五味ごみだらけの頭をして
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
ひらりと身をかはすが早いか、そこにあつた箒をとつて、又掴みかからうとする遠藤の顔へ、床の上の五味ごみを掃きかけました。
アグニの神 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
五味ごみ 春 第三十四 五味ごみ
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ひらりと身をかわすが早いか、そこにあったほうきをとって、又つかみかかろうとする遠藤の顔へ、ゆかの上の五味ごみを掃きかけました。
アグニの神 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
お玉は草帚くさぼうきを持ち出して、格別五味ごみも無い格子戸の内を丁寧に掃除して、自分の穿いている雪踏せったの外、只一足しか出して無い駒下駄を、右に置いたり、左に置いたりしていた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
第三十四 五味ごみ
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ぬかるみを飛び越え、石ころを蹴散けちらし、往来どめのなわり抜け、五味ごみための箱を引っくり返し、振り向きもせずに逃げ続けました。御覧なさい。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
朝焼けの揺らめいた川波には坊主頭の死骸しがいが一人、磯臭い水草や五味ごみのからんだ乱杭らんぐいの間に漂っていた。——彼は未だにありありとこの朝の百本杭を覚えている。
「槍ヶ嶽の事なら、この人は縁の下の五味ごみまで知つて居ります。」
槍ヶ岳紀行 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)