乾枯ひか)” の例文
これは昨年度には病気で死んだ人が何千万人あって其の内訳うちわけはどうだとか言う紙面の上の統計の様に乾枯ひからびたものではなく
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
銀座から日本橋界隈かいわいの街通りは、立派と云えば立派だけれども、何か空気がカサカサ乾枯ひからびているようで、彼女などには住みよい土地とは思えなかった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
町からは折々彼の細君とすがめの息子とがやって来て泊まって行った。細君というのは、ちいさな、乾枯ひからびた大根のような感じのする女で、顔中に小さなしわがいっぱいあった。
再度生老人 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
灯のせいもあるであろうが、顔色は黄疸ではないかと思われるほど真ッ黄色だった。鼻は細根の乾し蘿蔔だいこんを思わせるように、痩せて乾枯ひからびていた。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
咳払せきばらいをなされた木戸博士は、乾枯ひからびた色艶のわるい指頭ゆびさきを Fig. 1 に近づけられて仰有おっしゃった。
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)
女人をして惚々ほれぼれさせないではいない有名なる巨躯紅肉きょくこうにく棒鱈ぼうだらのように乾枯ひからびて行くように感ぜられるに至ったので、遂に彼は一大決心をして、従来の面子めんつを捨て、忍ぶべからざるを忍び