乳癌にゅうがん)” の例文
乳癌にゅうがんかも知れないと云ったもんだから、すぐに自動車で東京に引返して、旅支度たびじたくのまんま当病院ここへ入院したって云うのよ
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何もせぬのに夜通し痛がっていたので、乳腺炎にゅうせんえんになったのかと大学病院へ行き、歯形が紫色むらさきいろににじんでいる胸をさすがにはずかしそうにひろげててもらうと、乳癌にゅうがんだった。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
地中の球根をきつぶせば強力なのりとなり、女の乳癌にゅうがんれたのにつければくといわれる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
昭和三十五年、日本海を縦断した台風のため、持ち船は九割まで壊れたり沈んだりし、遠洋漁船もつぎつぎと遭難し、母が乳癌にゅうがんで金沢の病院へはいるとまもなく、父が脳出血で急死した。
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)