九仭きゅうじん)” の例文
わけて、中入りの戦いに、切レを取り損じては、九仭きゅうじんこう一簣いっきに欠こう。くれぐれも、引揚げの機を誤るなよ。風の如くいて、風の如く去れよ
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石子は登りつめた絶頂から九仭きゅうじんの谷へ落されたように情なくなった。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
九仭きゅうじんの功を一簣いっきく。なあ、そのままずらかりゃ怪我あねえのに、凝っては思案に何とやら、与惣公と化込ばけこんで一、二日日和見ひよりみすべえとしゃれたのが破滅の因、のう勘、匹夫ひっぷ浅智慧あさぢえ、はっはっは。
九仭きゅうじんの功ということになり兼ねないと思われる。
すべからく知るべし 九仭きゅうじんの山も
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
浅慮者あさはかものめがッ。これでまず九仭きゅうじんこう一簣いっきに欠いてしもうたわ。思えば、きさまの如き無謀小才こさいなやつを大望の片腕とたのんだなどがすでに尊氏のあやまりだった。返す返すも残念な
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)