中将ちゅうじょう)” の例文
と、こんなことをいいっては、あざわらいました。そして中将ちゅうじょう奥方おくがたかっても、はちかつぎの悪口わるくちばかりいっていました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
……中将ちゅうじょうきみ(信雄)には、一刻もはやく、長島ながしまの御本城へおかえりあるこそ然るべく存ずる。あとは、家康が、しかと要害ようがいをかためておきますから
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほどそこへ権頭ごんのかみもく中将ちゅうじょうの三人が入って来た。参蔵殿はじめ役人どもの狼狽ろうばいはみるも気の毒であったが、使節は厳粛に威儀を正して云った。
中将ちゅうじょう」という面があるが、嘉門の顔はそれに似ていた。が、年は争われない。しわが顔にうねっていた。とはいえそういう皺にさえも閑雅かんがで上品なものがあった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
中将ちゅうじょうたいそうおおこりになって、宰相さいしょうをきびしくおしかりになりました。けれどもそんなことで、宰相さいしょうはちかつぎを見捨みすてるはずはありませんでした。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
矢倉下の辻を三人の屈竟くっきょうな男が歩いてまいる、頭巾をかぶり刀を差して、だがどこやら寒そうな肩つきで、……肩の高いせた男は「中将ちゅうじょう」と呼ばれる
中将ちゅうじょうはふしぎなことがあるものだ。そしてこれから、いったいどこへ行くつもりだとおたずねになりました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)